本染めについて 

昔からある色を作り出す技術も進化を繰り返し現在に生きています。

色は常に時代にあった色彩を求められています。
科学の力と進化によって生まれた色彩は、昔」ながらの彩を忠実に再現します。

【藍染め(あいぞめ)】

タデ科の1年草(東南アジア原産)を使用した建藍がよく知られていますが、他にも藍の含有量の多いマメ科のインド藍なども多く使われています。
現在では、合成染料の人工藍もあり、濃度を出すために色々配合いているのが一般的です。
藍染は、収穫した蓼藍の葉を繊維発酵させ貯蔵する“すくも法”が知られてからは、藍甕を地中に埋めて火を入れて温度管理し季節を問わず藍の染色が可能になりました。
しかし、現在では産地の徳島県でも外国産、人工藍におされて生産量が少なくなりすくも藍は大変高価なものとなってしまいました。
袢天、デーブルセンター、ハンカチ、のれん、小物等色々な物が染められています。

【顔料(がんりょう)染め】

一般に、よく顔料染がプリントと呼ばれますが、プリントとは技法であって顔料染を指すものではありません。
また、プリントの方法でも顔料を使用しない本染は可能なのです。
顔料は、塗料、印刷インク、化粧品、絵の具などと同じもので、染色する生地に直接作用する性質はありません。
そのため、生地の隙間に色が絡み付いているのと同じなため、摩擦により剥がれ落ちるため洗濯には向いていません。
しかし、日光堅牢度(日焼けしにくい)が良いため、屋外に使用する 旗、のぼり、幕などに使用されます。
また、Tシャツや小物類の印刷にも多く使われますが、PL法以降は、着衣として使用される製品には肌に触れる部分への使用は避けるようになりました。
ただし、浴衣等に使用することのできる物もあります。
【反応染(はんのうぞめ)】

現在の木綿染では、一番一般的な方法です。 元々は、ドイツで考案された方法で、昭和40年代頃からそれまで主流の硫化染から多くの染工場がこの反応染を取り入れています。
特徴は、生地の風合いを残したまま染色することが可能で技法も糊置き引き染めからスクリーン捺染まで幅広く対応できます。
生地のセルロースという生成分に直接反応して染色するため洗濯も可能。
近年では本染めとして、生地の無地染、衣料品、袢天、のれん・・・など様々な用途、色々な物が染められています。

【硫化染(りゅうかぞめ)】

アミノフェノールなどの芳香族化合物を硫黄、または硫黄と硫化ナトリウムなどで加熱、溶解して作られる化学染料を使用して染める方法です。
藍染などと同様に、染液から出したあと空気に触れて酸化して発色する性質を持っています。
藍染等が、染色に時間がかかること、色落ちが激しいことに対応してこの染料に変りましたが、反応染が一般的になってからは一部の製品に限定されているようです。
生地の無地染、消防袢天、作業袢天、日本手拭、帆前掛けなどが現在でも染められています。